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琵琶湖発人間探訪

モーア・オースティンさん
海老澤 秀夫さんと上田 康世さん
NPO法人麻生里山センター
海老澤 秀夫さんと上田 康世さんを訪ねて

  高島市にある「森林公園くつきの森」の資源を活かし、 未来へ伝える活動を行っているNPO法人麻生里山センター。 今回はセンター長・理事を務める海老澤さんと、 高島森林体験学校コーディネーターの上田さんに、 森を守る取り組みとその必要性についてお聞きしました。

NPO法人 麻生里山センター
住所:〒520-1451滋賀県高島市朽木麻生443
TEL:0740-38-8099 FAX:0740-38-8012
高島森林体験学校
TEL・FAX:0740-38-2527


人が関わることで、やさしい里山の風景に

 「くつきの森」は、多様な樹木と草花で構成された自然豊かな森です。 リスやウサギ、シカ、イノシシなどの動物もたくさんいます。 意外と知られていない野鳥の宝庫でもあるんですよ。 もとは「朝日の森」として1979年から企業により森林保全の啓発や研究が進められていましたが、 2003年に高島市に引き継がれました。 その後、地元の有志たちが「かつての森のにぎわいを取り戻したい」 と2006年にNPO法人麻生里山センターを発足。 高島市から指定管理者として認定を受け、森の管理・運営を担当することになったのです。
 私たちの一番の目的は、多くの人に来てもらって森を活用し、 森を守っていくことです。森というと手つかずの自然をイメージされるかもしれませんが、 ここのような里山は人が伐採したり、 山焼きをしたりして手を加えることでやさしい風景になり、 生態系のバランスも落ち着きます。 でも地元は過疎で人が少なくなってしまったので、 街の人にもどんどん森に関わってもらおうと、 年間通して資源の利用や手入れ作業を体験する里山応援団養成講座や里山整備ボランティアの募集、 森林を歩く朽木山歩、芝生広場での和みのヨーガ、ツリーイング体験、 森の子キャンプなど様々なイベントを開催しています。

自然のなかで遊び楽しみ、大切さを知ってもらう
▲芝生広場での和みのヨーガ

 もうひとつ、高島市からの委託事業として「高島森林体験学校」の運営も担っています。 こちらはコーディネーターの上田が中心となり、 企業の研修や学校の学習プログラムのほか、自主イベントも企画。 間伐、枝打ち、薪割り、炭焼きといった山仕事体験、癒しの森体験、 山村暮らしの交流体験などを行っています。 綾羽さんの新入社員導入研修ももう6年ほど担当させてもらっていますね。 間伐体験ではやっていくうちに皆さんどんどん真剣な表情になり、 終わった後にいい顔をされるのが印象的です。
 また滋賀県では県下すべての小学4年生を対象に森林環境学習「やまのこ」 事業を行っており、私たちはその前段階として、 高島市の保育園や幼稚園児に向けた「木育」にも力を入れています。 例えば森を一緒に歩き、ルーペを見ながらアリさんの目になってみよう!というプログラム。 最初は虫に驚いてキャーキャー言っていた子どもたちも次第に目がキラキラしてくるんですよ。 森のなかでいろんな遊びを通して楽しみ、森を好きになってもらう。 それが未来の森を守ることにもつながるんじゃないかと思っています。 「くつきの森」も以前はシニア世代の利用が多かったのですが、 最近は小さいお子さんを連れた若いお母さんや家族連れが目立つようになってきました。これは普段、 森に関わりのない方たちにも森を知ってもらうチャンス。次世代へ向けて良い傾向だと期待しています。

森へ行こう!それが森の生きる道

 なぜこんなに森を守ることが大切なのかというと、 森は水を生む場所でもあるからです。森に降るたくさんの雨や雪は土壌に浸透し、 時間をかけてろ過され、川となって琵琶湖に注ぎます。琵琶湖に注ぐ水の約30%は、 高島市の安曇川から流れるもの。だから「くつきの森」は"水源の森"として、 とても大事な役割を担っているわけです。 これからも琵琶湖のきれいな水が飲めるように、 私たちもきれいな森を守っていきたい。そのためには、皆さんも機会があればちょっと森へ来てみてください。 森林散策で心癒されたり、整備に汗を流したり、自然について調べたり、ピクニックを楽しんだり、なんでもいいんです。
 私は「朝日の森」時代から山守りとしてこの森に関わり、一時は東京で働いていましたが、 定年退職後にまた戻ってきました。そのきっかけになったのは、地元の先輩方から 「この森を荒らしちゃいかん」と強く言われたからです。地元の人にとっては、 昔から近くに存在する愛着のある森。 そして上田のように街育ちの人にとっては、憧れのような素晴らしい環境。これからは地元の人も、 地域外の人もたくさん巻き込んで、みんなの森として続けていけたらいいなと思っています。


(2017年6月取材)
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